18歳の時に警察官になったんだけど、
バカすぎて半年でクビになったことがある。
まず、警察官になると『警察学校』に配属されて、
1年ほど集団生活をしながら訓練受けることになる。
・・・・その同期の多くが、まだ私と同じ
高校を卒業したばかりの18歳の若者だった。
私はその同期たちと比べると、
とにかく『物忘れ』がなどが多く。
『細かいミス』が多かった。
(あれっ・・なんだっけ・・)
そして・・・この警察学校には
「誰のどんなミスでも連帯責任!!」
という鉄の掟がある。
さっそく一人のバカ(私)がミスをした。
・・・・すると教官が激怒してこう叫ぶ!!!!
「ぜーいん!!腕立てよーい!!」
(腕立て100回!!!!!!はじめぇ!!!)
・・・すると、全員が地面に手をついて、
一斉に腕立て伏せを始めるわけです。
「イチッ!!ニッ!!サンッ!!シッ!」
そして罰が終わるころには、みんな汗だく。
疲れてそのまま地面に突っ伏してしまう。
(はぁ・・はぁ・・・オエッ・・・)
厳しい訓練に加えて・・・この罰はしんどい。
ひとりのバカのせいで、みんながバカを見る。
・・・でも最初の頃は、誰かがミスをしても、
「ドンマイ!ドンマイ!」と励ましあっていた。
「オレたちの期は、一人も欠けることなく、
みんなで力を合わせて卒業しような!!!」
・・・だけど、訓練の厳しさは日に日に増していく。
さらに窮屈で不慣れな集団生活の中で不満も溜まる。
・・・・・そしてバカがミスを繰り返す。
心に余裕がなくなっていく。
(クソッイラつくわ!!!シネ!!!)
しかもこのバカは極度の人見知りとコミュ障で、
仲間たちも上手くコミュニケーションがとれなかった。
(根暗なバカに救いはない)
だんだんみんなも、バカにイラつくようになり、
バカをイジメるようになった。
(てめぇのせいで疲れるんだよ!!!辞めちまえ!!)
・・・バカはただただ同期に対して
申し訳ない気持ちでイッパイだった。
そんなある日、教官に呼び出されこう言われた。
「警察官を辞めてくれないか?」と。
(警察にバカはいらん)
バカは子供の頃から夢だった警察官を辞めたくないので、
必死でペコペコ頭を下げて「がんばります」と言い続けた。
(ぺっこぺこ)
まぁ成績自体は悪くないので・・・・
懇願して、どうにかお許しがでたんだけど。
「教官もアイツをクビにしたがってるぞ!」
という噂が広まると、余計にイジメが悪化した。
(ボッコボコボボコボコ)
イジメが悪化すると、教官たちからの呼び出しも増えた。
「いいから早く辞めろ!!!」と。
(教官たちもめんどくせぇなぁって感じだった)
訓練後に呼び出されて、数時間こってり絞られると、
「食事の時間」や「風呂の時間」に間に合わなくなった。
そして時間外に風呂に入ろうとすると、同期が
「風呂の時間は終わってるだろ!!」
と言って、立ちふさがってくる。
(いやーこのコンボはキツイな)
・・・・・そんな生活が数週間続いたある日。
教官や同期がいくらバカに「辞めろ」と言っても
聞かないものだから、教官はついに『最終兵器』を出した。
(いっけ~~~~~)
・・・・・ある日、同期たちが
一斉に部屋へと押しかけてきた。
理由はわからないんだけど・・・・・・
「ふざけんな!!!」とみんなバカに大して怒ってる。
・・・理由を尋ねると・・・なんと・・
「教官がお前の素行が悪いから、同期全員を
卒業まで外出禁止にするらしいぞ!!」と言う。
(いや・・・それ・・・罠やん・・・・)
警察学校は毎週土日は家に帰れることになっていて、
家には両親や奥さんやお子さんが帰りを待っている。
もし卒業まで外出禁止になったら、
半年以上家族に会えないことになる。
同期たちが「どうしてくれるんだ!!!」と私に迫る。
(・・・・・・もうどうしようもない)
・・・・私はすぐに教官室へ行き教官に退職を申し出た。
「ご迷惑をおかけして申し訳ありませんでした」と。
そして最後にこう付け加えた。
「私はこれでもう辞職しますので、
同期への罰は取り消してください」と。
(おっけー)
・・・・・・こうして私は子供の頃からの夢だった
警察官をたった半年でクビになってしまったのだった!!!
(あー・・・・)
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・・・私が憧れたドラマや映画の警察官の主人公たちは、
当たり前だけどみんな『警察官になってから』物語が始まった。
だけど私の人生はなにも始まらない。
・・・・・私の何もない人生は、ここから、
『警察官をクビになってから』始まったんだ。